おすすめの本シリーズ第2段。今回は株式会社刀CEO 森岡毅 著の書籍です。
USJは開業当初こそ注目され成功を収めましたが、その後数年で客足は遠のき経営危機に陥りました。そこで森岡毅氏がUSJに入社し、マーケティング改革を行った結果、わずか数年で経営再建を果たしました。この書籍は、経営危機に会ったUSJをどのように分析し、どんなマーケティング手法を使って成功を収めたのかが記されている良書です。
この本では市場を分析したマーケティング手法に関する内容が詳しく書かれていることはもちろん、売れる製品・サービスを開発するために行った企業組織改革についても記されています。私自身は後者の方が共感しました。会社という組織に属する人の立場・考え方を的確に分析して、組織に属する人たちのしがらみやマインドを変え、組織改革どのように行ったのか記されています。私自身が社会人になり会社という組織に属して感じた違和感を、本書籍では的確に捉えていて、非常に共感しました。
商品開発部に所属して感じた違和感。会社と会社員の利害
私自身、大手メーカーの商品開発部に所属し、新商品開発に携わった経験があります。そこで一番驚き・感じたことが「この商品売れるの?という商品がたくさん開発されている」ことです。そしてさらに驚きなのが、開発している当事者も「売れるかわからない、売れないかもと感じて製品開発していること」です。もちろん発売しないと売れるかどうかなんてわかりませんし、売れないと思っていた予想外に商品が売れることもざらにあります。
しかし、私が開発者責任者だとしたら、売れない商品の開発なんてしたくないですし、売れると信じて開発しているべきだと思っています。入社してそうそう衝撃的なことでしたし、その後退職まで進んだ理由の1つにもなっています。この本を読み進めると、私が感じたことはたまたま所属していた会社がそのような環境・マインドだったわけではなく、日系大企業を中心に蔓延しているよう様です。もちろん、企業・部署によってはこんな考えを持たず真摯に製品開発されている企業さんもたくさんあるでしょうが、割合的には少ないみたいですね。本書では、日系大企業がなぜこんな状況に陥っているのかを丁寧に説明してくれています。
具体的には、①”技術志向”に陥ってしまっていること、②マーケティング部が機能していないこと、そして③組織に所属する会社員の利害関係に起因することが主原因としてあげられるようです。特に三番目の 組織に所属する会社員の利害関係 については非常に納得できました。
商品開発=売れる商品を開発する ではない
入社するまでは、売れる商品を開発することが商品開発部の使命だと思っていました。確かにそうなのですが、大きな組織に所属するとこんな当たり前のこともできなくなってきます。組織に所属する会社員とって上の命令に従い、成果を出すことが一番の使命です。自分が売れると信じる商品だけを開発していればいいわけではありません。上から命令のあった製品を開発しなくてはいけず、そんなことを繰り返していると、本来市場・マーケットを見て製品を開発すべきなのに、気づいたら社内の上を見た商品開発になってしまいます。これが会社員の利害関係問題です。
これは私の経験ともジャストフィットしております。森岡さんは、この「会社員のジレンマ」を指摘し、どのようにして製品を開発していけばよいのか、問題点を指摘して提案までしてくれています。モノ・サービスを売るメーカ、サービス業に従事されている方はぜひこの本をおすすめします。マーケティング部だけがマーケティング志向が必要なのではなく、営利企業で製品を研究・開発・販売するすべての人がこの本を手に取り、マーケティングマインドを身につけるべきだと思います。
現在、森岡毅さんは私がこよなく愛する丸亀製麺などを展開するトリドールHDのコンサルに入っており、トリドールHDの大復活にも期待しています。いつか一緒に働かせていただきたい人の一人です。マーケティングの考え方を教えてほしい、弟子入りしたい、そんな風にまで思っています。(笑)
丸亀製麺×株式会社刀
ぜひ、興味がある方はご一読を。とっても有意義な本だと思います。
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